Craft & Note 人生は削るほど形になる ― 陶芸から学ぶ選択・視点・感覚・時間 ―
器づくりを続けていると、技術だけではなく、ものの見方や考え方を学ぶことがあります。ろくろの前で起きていることは、人生や仕事にもそのまま重なることが多いのです。私が陶芸を通して感じているのは、四つの力です。一つ目、削る力器づくりでは、粘土をそのまま形にするわけではありません。ろくろで形を引き上げたあと、余分な粘土を削ることで、器の輪郭が生まれます。削ることで、形がはっきりしてくるのです。人生や仕事も同じです。何かを手に入れるためには、何かを選び、同時に何かを手放さなければなりません。やらないことを決める。不要なことを削る。そうすることで、自分の形が少しずつ見えてきます。二つ目、反対側を見る力ものづくりでは、一つの形には必ず反対側があります。波のような∪の形も、裏側から見れば∩という山の形です。陶芸でも、お皿の形は∪ですが、型を作るときには逆の∩の形を考えなければなりません。表だけを見ていては、本当の形は作れないのです。人生でも同じです。失敗も、裏側から見れば経験になります。遠回りに見えることも、振り返れば必要な時間だったと気づくことがあります。物事には必ず別の見方があります。反対側から見...
