商品開発やビジネスの世界では、よくこんな言葉を耳にします。
もっと早く。
もっと薄く。
もっと安く。
一見すると、とても前向きな努力に見えます。
しかし、この方向だけで勝負し続けると
最終的には 恐ろしい消耗戦になります。
誰かが早くすれば、さらに早く。
誰かが安くすれば、さらに安く。
この競争には終わりがありません。
では、どうすればいいのでしょうか。
その答えの一つが
ポジショニング(Strategic Positioning)です。
サーフィンで考えると分かりやすいです。

サーファーは
すべての波に乗ろうとはしない すべての場所で待たない すべてのタイミングで漕がない
つまり
「乗る波を選ぶ」
のです。
これはビジネスで言うと
「戦う場所を選ぶ」
ということです。
違いを作るという戦略
経営学者の マイケル・ポーター は、
競争戦略の中でこう述べています。
「他社と違ったユニークな存在であることが利益の鍵である」
つまり、重要なのは
他社と同じ土俵で戦わないこと
です。
そしてユニークさは偶然生まれるものではなく、
ポジショニングによってつくられるものです。
勝てる場所を選ぶ
スポーツの世界でも同じことが言えます。
松井秀喜 は
野球という競技を選び、
長打力を武器に
ホームランバッターとしてのポジションを確立しました。
一方、イチロー は
同じ野球でもまったく違う道を選びました。
高校時代はピッチャーでしたが、
バッターとして生きることを決断し、
ホームランではなく
ヒットを積み重ねるスタイル
で歴史的な記録をつくりました。
同じ競技でも
戦う場所を変えるだけで、世界は変わるのです。
勝てるフィールドを探す
陸上選手の 為末大 は
こんな言葉を残しています。
人間には変えられないことの方が多い。
だからこそ、変えられないままでも戦えるフィールドを探すことが重要なのだ。
彼は高校時代、100メートル走を目指していました。
しかし途中で
400メートルハードルに転向します。
「勝てるところで勝負する」
という戦略を選んだのです。
そしてその結果、
世界大会でメダルを獲得しました。
「何でもできる」は強みではない
多様化した現代では
「何でもできます」
という言葉は、実は強みになりません。
むしろ
何も特徴がない
という意味に聞こえてしまうこともあります。
本当の差別化とは
できることを増やすことではなく
やらないことを決めること
です。
「やらないこと」が集中を生む
リソースには限りがあります。
時間
人材
資金
エネルギー
すべて有限です。
だからこそ
やらないことを決める
ことが重要になります。
やらないことを決めることで、
やるべきことに集中できる。
その集中が、
やがて他社との違いを生みます。
差別化とは「選択」である
差別化とは、特別な能力のことではありません。
それは
選択の結果
です。
何をやるのか。
そして
何をやらないのか。
その決断こそが、
ポジションをつくります。
ビジネスでも、人生でも、
すべてを手に入れることはできません。
しかし
何を選ぶかによって
どんな未来に立つかは変わります。
だからこそ
差別化を図るには
「何をやるか」ではなく
「何をやらないか」で決断する。
それが、
自分の強みをつくる最もシンプルな方法なのです。

