
陶芸でろくろを引いていると、
あることに気づきます。
それは、
見ない方がうまくいく
ということです。
ろくろを回しているとき、
形を目で追いながら整えようとすると、
かえって歪んでしまうことがあります。
目で見て、頭で考えて、
「もう少しここをこうしよう」と思った瞬間に、
指先より先に頭が動いてしまうのです。
すると、
さっきまで素直に上がっていた粘土が、
急に崩れ始めます。
逆に、
目を少し離して、
手の感覚だけで粘土に触れていると、
不思議と形は安定してきます。
指先が感じているわずかな振動や、
粘土の厚みや柔らかさ。
そうしたものを、
体はちゃんと覚えているのです。
目で見ているようで、
実は人は
見えるものに引っ張られすぎてしまうことがあります。
頭が先に動き、
本来の感覚を邪魔してしまうのです。
心の目で見る
だから私は、
ろくろを引くときに
「心の目で見る」という言い方をしています。
これは陶芸だけの話ではないと思います。
仕事でも、
数字や結果ばかりを見ていると、
本来大切なことを見失うことがあります。
人生でも、
周りの評価や見た目ばかりを気にすると、
自分の感覚が分からなくなることがあります。
本当に大切なことは、
目に見えるものの外側にあることも多いのです。
少しだけ目を離してみる。
静かに感覚に任せてみる。
そうすると、
さっきまで見えなかったものが
ふっと見えてくることがあります。
見ないことで、
見えてくるものがある。
ろくろの前で、
そんなことをよく思います。

